日本語のシャドーイング、本当に効果が出る練習のしかた
シャドーイングは、通訳の訓練でも第二言語習得の研究でも、くり返し効果が確かめられてきた数少ない練習法です。聞き分ける力、リズムやイントネーションをまねる力、口の筋肉 —— この3つを同時に鍛えます。でも負荷が高いぶん、間違ったやり方のほうが、正しいやり方より多いのです。この記事では理屈は抜きにして、そのまま実践できる手順を紹介します。
多くの人がつまずくところ
- 素材が難しすぎる。聞いてわからないものをシャドーイングしても、口は雑音をまねているだけで、頭は空っぽ —— それは「声を出す」練習で、日本語の練習ではありません。
- 量ばかりで、聞き返さない。30分シャドーイングしても、自分がどう言っているかを一度も聞いていない。間違った発音を30分くり返せば、間違いが固まるだけです。
- いつまでもスクリプトを見ている。目が読んでいる間、耳は働きません。テキストは足場です。建物ができたら外しましょう。
素材の選び方
基準は一つ:テキストを見なくても 90% 以上わかること。シャドーイングで鍛えるのは「聞いたことをすぐに言い返す」力です。理解に力を使ってはいけません —— 理解に力を使うと、シャドーイングに使う力が残らないからです。つまり、素材は自分のレベルより半レベル下がちょうどいいのです:N3 なら N4 の聴解素材で練習する。恥ずかしいことではなく、効果があります。長さは1つ 30 秒〜1 分、スクリプト付きで、自然な速さのもの(わざとゆっくり話す教材の話し方は避けましょう。リズムが不自然です)。
4つの段階で、1つの素材を仕上げる
- テキストなしで2回聞く。テキストを見ずに、内容にも速さにもついていけるか確かめます。わからなければ素材を替えましょう。無理は禁物です。
- テキストを見ながら、1回じっくり聞く。聞き取れなかった単語、長音・促音の位置、アクセントの上がり下がりを確認します —— この1回は、口のための地図づくりです。
- テキストを見ながら、スムーズに言えるまでシャドーイング。お手本から 0.5〜1 秒遅れて、影のようについていきます。つまずいた文はそこだけ取り出して練習し、全体をやり直さないこと。
- テキストなしでシャドーイングして、録音する。これが本当のシャドーイングです。録音を再生してお手本と比べ、どの拍、どの高さが違うかを耳で探します。見つけたら、その1文だけをやり直します。
同じ素材を、4段階目がスムーズにできるまでくり返してから、次へ進みます。1つを仕上げるほうが、10個を流すよりずっといい —— シャドーイングの効果は、「言えない」から「言える」へ登る坂道にすべてあります。言えるようになってからのくり返しは、ただの気休めです。
1日どのくらい?いつ効果が出る?
1日 10〜15 分、毎日。負荷が高いので、長くやっても質が保てません —— 1回 40 分より、4日に分けて 10 分ずつのほうがいい。上達の目安は「流暢になった気がする」ではなく、測れる2つのことです:新しい素材で、3段階目に必要な回数が減っていること。録音を比べたとき、自分で見つけられる問題がだんだん細かくなること(「この文がおかしい」から「この拍が高い」へ)。耳が厳しくなること、それが上達です。
シャドーイングでは鍛えられないこと
最後に正直なことを。シャドーイングで鍛えられるのは「人の言葉をそれらしく言うこと」だけで、「自分の言葉で話すこと」は鍛えられません。文の組み立て、単語を思い出すこと、会話のやりとり —— これは実際に自分で話してこそ身につきます。シャドーイングを話す練習のすべてだと思うと、オウム返しの達人になってしまいます。発音はきれいなのに、自分が話す番になると頭が真っ白。シャドーイングは土台であって、家ではありません。
広告(自社のアプリです):上の手順でいちばん面倒な2つ —— テキスト付きのちょうどいい素材を探すことと、録音して聞き比べること —— を、manabiu(当サイトのデスクトップアプリ)は1本の流れにしました:パソコンの動画や音声をドロップすれば、1文ずつのテキストが出ます(字幕がなければ自分で文字起こしして下書きを作ります)。どの文も1文だけくり返してシャドーイングでき、選んだ文はパソコン上のお手本音声と拍ごとに比べられます。「自分の言葉で話す」ほうの半分は、ドリルから実際に話すところまでつなぐこと —— それがこのアプリの存在理由です。 このページでシャドーイングを試せます。インストール不要。